今回から5回シリーズにて「人材活用について」をお届けします。
1.「人的資本」への注目が集まる背景
企業にとって人材は、いつの時代も重要です。
かつて経営の神様、松下幸之助氏は、「松下電器は何を作っている会社ですか」、と聞かれたら、「人を作っている会社です。 あわせて電気製品も作っていますと答えなさい」と社員に教えました。 人を事業の手段だと考える従来のアメリカ的経営とは異なる発想です。
かつての日本には、この松下電器のように、人を大切にする企業が多かったように思います。それゆえ、家族のように扱い、終身雇用制も生まれてきたのです。いつのころからか、財務諸表や数字、効率化中心のアメリカ的経営に変化していきました。従来の財務諸表では、人は資本ではなく、人件費というコストです。システムの導入により、人件費は削減され、効率化が進みました。それ自体は悪いことではありません。
しかし、ここ数年、財務諸表や数字中心の従来の経営スタイルから、人的資本経営(※)の重要性が問われるようになりました。アメリカやヨーロッパ等でも、「人的資本経営の重視」に大きくシフトしてきて世界的な流れとなっています。
※人的資本経営:人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。日本でも、経済産業省により「人材版伊藤レポート2.0🔗」が公表され、人的資本経営の重要性が提示されています。
こうした世界的な背景も受けて、日本でも「人材活用の在り方」が話題となっています。
今、企業で急務となっている具体的な課題もあります。
次回から、
2. DX人材の不足
3.人的資本の情報開示の義務化
4.人的資本ISO30414とは
等、差し迫った課題とその対策について配信します。
この記事の筆者
教育プラットフォーム戦略室長 杉 眞里子
旅行会社、大手生命保険会社を経て、NTTドコモ、 日本IBMで数多くの政府政策系実証実験や官民をつなぐプロジェクトを経験。昨年12月、ジンジャーアップに入社。