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両国散策 ~ 回向院

弊社オフィスの近くに、回向院(えこういん)という寺院があります。江戸時代、1657年の「明暦の大火」(振袖火事)によって死亡した無縁の人々を供養するために、4代将軍 家綱により大法要を行う御堂が建てられたことが始まり。

 

その後、天災などによる無数の無縁仏を弔うと共に、「有縁・無縁に関わらず、人・動物に関わらず、生あるすべてのものへの仏の慈悲を説く」という理念から、犬猫や鳥などの供養塔もあり、猫塚なんてものもあります。

 

また、金持ちから盗んで貧しい人たちに金を配った泥棒という話で有名な「鼠小僧」の供養墓があり、その前には「欠き石」という供養碑が置いてあって、それを削って財布などに入れておけば、回り良くなる・持病が治るといわれているそうです。


さて、普段拝むことのできないご本尊を遠地出張して、その地で拝するようにするのが「出開帳」。1778年に長野の信州善光寺の御本尊が、この、回向院に出開帳となった時には一大ブームとなり、60日間で 1603万人もの参詣があったそうです。当時の日本全体の人口が 3100万人程度でしたから、のべ数とはいえ相当な人出であったことが伺えます。

 

いつもは静かな佇まいの回向院ですが、遠い昔、この地で、そういう熱狂があったということを知って驚かされるのも、両国散策の楽しみの一つです。